クルマのお話 駆動方式の違いが雪道にもたらす影響
冬です.....雪です.....
今年は雪が多いですね。
当地方、市内は幸いにも未だ大雪には見舞われてないのですが、一歩郊外に出るとあっという間に雪景色。市内に降るのも恐らく時間の問題かと思います。
今日はそんな雪道と車のお話です。
雪国にとってはスタッドレスタイヤは必需品。
スタッドレスタイヤの装着は万全と言いつつも、雪道の運転は慣れている人でもやはり怖いもの。
皆さんも雪道をクルマで運転されると思いますが、今日は雪道を走るときのクルマの駆動方式による影響を考えて見たいと思います。
駆動方式
国産車の殆どはフロントにエンジンがあります。
直訳するとフロントエンジンです。
さて、皆様が普段運転しているクルマ、前・後のどちらのタイヤが回っているかご存知ですか?。
これを知らないとこれからのお話が進みません。
是非、クルマの説明書等を読んでご理解の程。
まずは、主な駆動方式を下記に記します。
- FF(エフエフ) 前輪駆動
- FR(エフアール) 後輪駆動
- 4WD(ヨンダブルディー) 四輪駆動
- MR(ミッドシップリアドライブ) 後輪駆動
- RR(リアエンジンリアドライブ) 後輪駆動
国産車は主にこの種類になると思います。
MRとRRは、また別の機会にでも。
また、フロントミッドシップという特異なレイアウトを持つスポーツカーもありますが、ここでは割愛しますね。
FF(フロントエンジン フロンドドライブ)
フロントにエンジンがあり、フロントタイヤが駆動してクルマを走らせます。
後ほど説明しますが、1970年代のクルマの殆どはFR(フロントエンジンリアドライブ)を採用していましたが、1980年代後半からは国産車が軒並みFFレイアウトへと移行していきます。
FFのメリットは、リア駆動車に比べリアタイヤにエンジンの動力を伝えるためのドライブシャフトを持たないので、生産工程でコストが掛からない事+製造時間の短縮などメーカーにとっても手間が掛からないのですね。
しかし、操舵と駆動を前後それぞれのタイヤで役割分担して走るFRに比べて、コーナリングや下り坂での運動性能は低下します。
フロアにドライブシャフトが無いので室内の足元を広く取れるというメリットもあります。よく一昔前のタクシーに乗ると、後席の足元中央がボコっと膨らんでいるのを見たことがあると思います。あれです!。乗るときに結構邪魔です。
FFのデメリットは、駆動系等、操舵系等の機械一式が全てフロントに集中しているため、ボディーバランスがフロントヘビーとなってしまい、駆動も操舵も全てフロントタイヤで行うためフロントタイヤに掛かる負担も大きいのです。運動性能はおろかリアタイヤに比べてフロントタイヤの摩耗も激しくなります。
そして本題。
雪道にFFが強いと言われる所以は、駆動するタイヤの上に200kg近い重量があるエンジン・トランスミッション・デフギアがあるため、その重さでフロントタイヤを雪道にグイ~~ッ!と押し付けてくれるので、低μ路(路面抵抗の低い)雪道ではスリップしにくいと言われています。
んで、先週のうちに頑張って慣れない絵を書きときましたから!(キッパリ!)。
しかも、Excelで.......。
1時間掛かりました........。
なかなか絵心がありますでしょ!!......笑。
つまるところFFは、生産もコストが掛からなくて室内も広々としていて、おまけに雪道も安全に走れる万能型のレイアウトということですね。 一方で、雪道は滑らない....と過信していると痛い目に遭います。
FFはタイヤのグリップ力がステアリングを介して人間に伝わりづらいのです。
低μ路でのトラクション性能(タイヤが動力を路面に伝える力)は高いのですが、タイヤが滑っているというインフォメーションが人間に伝わりづらいので、調子に乗っていると滑っていることに気づかず事故に至るケースが高い。
前輪が駆動する振動がステアリングを通して伝わってくるので、細かいタイヤの情報を見逃しがちです。
これは、私が若いころ峠を走っていたときの実話なのですが......
10台の走り屋くんマシンたちが連なって、合図とともに一気に2kmのダウンヒルバトルをします。
とある日の峠、雨が降ってしばらく時間が経過した路面状況でした。
みんな路面はドライだと勘違いしていたのですが、一部だけ路面が乾いていないコーナーがあったのです。私も最初は気づきませんでした。
90度の高速コーナーに10台ほどで侵入。私はちょうど中間の5台目あたりを走ってましたが、前を走る某社のFFマシンが突然コーナーの出口でスリップしてタイヤのグリップ力を失い、スピンしてコースアウトです。
原因は濡れていた路面に気づかずにアクセルをドカ~ン!!と開けてしまったからと推測します。
結果そのまま崖の下におちてしまい、クルマは大破してしまいました。
私はそのすぐ後ろを走ってました。クルマはFRです。コーナーの出口でアクセルを踏んだ瞬間リアがキュキュッ!!と出てしまい「おっ!まだ濡れてる!!」と一旦アクセルを緩め、グリップの回復を待ってからアクセルを開けたところFFマシンは既に目の前でスピンをしながら崖の下に落ちてしまいました。
因みに、運転手は幸いにも無傷です。
あとからそのスピンしたドライバーさんに聞いたところ、タイヤが滑っている手応えを全く感じなかったとのこと。
FRは駆動輪であるリヤが正直に反応するので、判断と操作だけ間違えなければ路面の変化に素早く対処できます。
勿論、ドライバー個々の経験や技量も伴います。
でも、実際にテクのない私もかなりテンパりました.....。
この峠のお話は、若かりし頃の過ちでございます。今はやってませんから安心して下さい.....。
という訳で、気がついたときには時既に遅しで、一度滑ってしまうとコントロールが出来ず、あとはガードレールとお友達になってしまいます。雪道と言えども過信せずに安全運転で!!極論で言うと、FFが雪道に強いというの上記の図の通りで、特に発進時のお話ですからね。
現在はABS(アンチロックブレーキシステム=タイヤがロックしない)がありますね。タイヤがロックしないように機械がコントロールしてくれますが、そこで一言アドバイスです。
タイヤがロックして(ABSが作動して)、ガードレールや対向車に向かって滑っていってしまったら、ぶつかる直前で思い切ってブレーキを離して下さい(勇気が要ります)。
滑っている間に車速が落ちてタイヤのグリップが回復すれば、クルマの方向を変えられます。ブレーキを踏んだだけのままでは、クルマの方向は変わりません。
これは、広くて安全な場所で何度も練習する事をオススメします。
ただ、最近のFFはとても良く出来ています。
特にホンダ。
FF界の神様と言ってもいいでしょう。
1980年代、シビック、インテグラ、CR-Xなど、VTECエンジンとともに、ダブルウィッシュボーンを煮詰めに煮詰めて、世界が認めた究極のFFスポーツを作り上げたのは有名な話です。
国内の自動車メーカーでホンダに勝るFFを作れるメーカーはないでしょう。
でも、この話は限界ギリギリで走るモータースポーツ上の話であって、普段買い物に行ったり法定速度でドライブするときにはそれほど気にする事ではないですので。
でも、改めまして......雪道は過信は禁物です。
FR(フロントエンジンリアドライブ)
フロントにエンジンがあって、リヤタイヤが駆動する方式。
過去60~70年代後半、最も多かったクルマの基本的なレイアウトです。
そして、私が一番好きなシャシーレイアウトでございます。
最近はFRのクルマを探すのがホントに大変です。
フロントタイヤで操舵、リアタイヤで駆動という最もバランスの取れた駆動方式と言えます(トラクションで言えばMRとかRRだ!って思う方も居るとは思いますが、ここれはあらゆる路面状況を想定してのお話です)。
現在採用されているのは、国産車では一部のスポーティーカーと高級車、または商用車などです。因みに、バス・トラックとかもそうですね。
デメリットはまさにFFの真逆です。
生産コストが高い、室内(足元)が狭いなど。
故に、FFに比べてFRのメリットは非常に多いです。
しかし、一方の雪道でFFと比較すると、下の図の通りで駆動する赤い部分のリアタイヤに対して荷重が一切掛からない為、雪道での発進はとても苦手です。
タイヤを路面の押し付ける力が弱いので、タイヤが空転してしまいます。
しかし、このデメリットは発進時と加速時のみであると私は思います。
FFと違いコーナリング中でもアクセルでリアタイヤに駆動を伝えやすいので、コーナー中であってもクルマの向きや挙動を変化させる事を得意とします。
アイスバーンなどでの直進時、ラフなアクセルワークをするとリアが金魚のように左右に揺れます。これはタイヤが空転していてトラクションが横方向に逃げている、つまり前に進んでいない状況です。
しかし、フロントタイヤはエンジンとトランスミッションの重量がかかっているため、しっかり荷重がかかっています。ですので、アクセルとステアリングでしっかりコントロールさえすればクルマの挙動を修正できます。滑っていたら戻せばいいし、滑っていなければ加速という判断をし易いのです。その代わり、フロントにはしっかり荷重を乗せながら走る必要があります。フロントがグリップを失ってしまったら、いくらFRでもおしまいです。そして駆動輪のリヤタイヤですが、テールスライド状態にあってそれをコントロール出来なければドライ路面であってもウェット(雪道)であっても回避不能になります。
雪道でFRのトラクションを稼ぐ為に、燃料タンクがトランク下にあるメリットを活かして燃料は常に満タン!!。60㍑も入れれば大人一人分の重量が稼げますのでリア荷重の増加に少なからず貢献します。
また、状況によっては難しいと思いますが、同乗者には出来るだけリアシートに乗ってもらう。
最後に、トランクに出来る限りの重い荷物を積む(私、タイヤの上にブロック積んでました)。
⇧これ、以外と効果あります(S13シルビア時代に実証済)。
なんで雪道を走るだけでこんなに苦労しなければならないのでしょうか?FRって。
でも、FRが好きです。
余談ですが、現在の愛車 コレです。
日産のフーガ。
2.5Aパッケージ。因みに5年落ちの中古ですからね。新車では替えません。
いわゆるおっさんセダンですが、ちゃ~んとFRです!。
予算の関係で2.5リッター。中古ですがFRに乗りたいが為に頑張って買いました。
4WD (4ホイールドライブ)
最近の4WDはとても良く出来ています。
一昔前の4WDは極端に燃費が悪いとか曲がらないとか、性能面では色々と問題がありましたね。
しかし、その4WD界を引っ張ってきた日本が誇る自動車メーカー「SUBARU」。
スバルの4WD性能は、世界が認めています!。
【驚愕】インプレッサが雪でスタックしている大型トレーラーを牽引!
すごいですよね!この動画。
この動画を見て、海外でスバルに乗り換えた方も結構多いらしいです(噂ですが)。
話がソレました。
最近の4WDは、電子制御で駆動配分を前後任意で配分出来たり、フロントタイヤが滑ったのを感知した時点で自動的に4WDに切り替わったりと、まさに至れり尽くせりです。
燃費に関しては、やはり同車種の2WDに比べると・・・・・ですが、常に4輪が駆動していた一昔前から比べると雲泥の差です。
雪道に強いという要因は、想像すれば何となくお分かりかと思いますが、4輪が全て回ったほうが動力を路面に伝える力が2から4に増えるので当たり前です。
しかしながら、これはドライ路面でも同じことです。
最近のハイパワースポーツカーが積極的に4WDを採用するようになったのは、4WDがトラクション性能に優れているから。
1980年代にデビューした日産のGT-Rが4WDを採用した事をきっかけに、国内ではランエボ、インプレッサ等々が華々しいデビューを飾りました。
(因みにランエボの歴史はもっと古いのですが、ここでは再デビューという事で)。
走り屋マシン全盛期。私は当時高校生でした。
4駆のデメリットは、後輪にも動力を伝える為にプロペラシャフトが必要で、その為フロント・リアの両方にデフギアを設けなければならない為、車重が重くなる点です。
運動性能面で最初のほうでは良いことばかり書いてますが、4WDも滑ったらおしまいです。どこに吹っ飛んでいくか分かりません。
この辺を勘違いされて、4駆の特性も知らずに雪道を縦横無尽に走る方々は大概事故ります。
また、ステアリングはアンダーステア傾向になるため、コーナー進入時にステアリングだけで曲がろうとすると、クルマは遠心力に負けてコーナーの外に外にとどんどん膨らんでしまいます。
しかしながら、4駆の特性を知り尽くした腕の良いラリードライバーさんやモータースポーツ経験者の方が乗る4WDはそれはもう最強でしょう!。
でも素人が彼らの真似をしてはいけません。
彼らには根拠と経験があっての4WDという選択なので。
まとめ
記事がとてもボリューミーになってしまいました。
駆動方式の違いをサラッと記事にするだけの目的で書き始めたのですが、色々と内容が膨らんでしまいました。
恐らくこのブログは、日本一読みづらいブログであると断言します....笑。
色々と書きましたが、過去に全ての駆動方式を車歴として乗ってきた経験からうんちくを述べさせて頂きました。
クルマに興味の無い方にとっては、とても残酷な記事でしたね。
いや、クルマに興味のない方は、恐らくここまで読んでないですね....。
いずれにしても、雪道を走る上で万能のクルマなどないのです(戦車ぐらいかなぁ?)。
4駆だから!とかFFだから!雪道は大丈夫!という過信は禁物です。
(私、初心者時代に雪道で3度ほどぶつけてます....笑)。
春まであと2ヶ月。このブログを読んで下さった皆様が、事故なく無事に夏タイヤに履き替える事を祈念して、記事を閉めさせて頂きます。
文字数:5874文字でした。
(記事を分けるべきでしたね、すみません)。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。